アドベンチャーは大型ばやり、だから中国ホンダ新大洲のCRF190Lに注目していたんですが、なんと125ccなのにアドベンチャータイプのバイクがありました。台湾のSYMが中国で生産し、この秋から日本でも取り扱いが始まりました。写真のように堂々たるものです。
機構そのものは空冷単気筒でそれなりですが、タイヤの前/後インチは19/17でアドベンチャーではフルサイズ、タンク容量は11Lありますから航続距離はざっと400Kmはあるでしょう。注目度は高く、すでに最初の輸入分は完売し、次のロットは12月、しかし値上げはしないそうです。購入希望者にはうれしい話です。
かつて125㏄ツアラーといえばこの「名車」がありました。ホンダのバラデロ125
125ながら水冷V2エンジン、タンク容量は17L、車重は180Kgもあり、価格は70万円。考えてみれば途方もない原付2種ツアラーでした。ある意味で近寄りがたいバイクでしたが、今回のSYMから出たNHT125はもう少し庶民的です。メカ的にはなんの変哲もない、ある意味で外装だけをアドベンチャー化したに過ぎないけれど、下道をのんびりロングツーリングしたい方には待望の原付ツアラーです。同じ中国のCB190XとかCRF190L、インドのCB200Xも基本的には外装のみのアドベンチャーバイクですが、だからこそ安価で供給可能なんです。こういう選択肢があってもいいのだと思います。
SYMのHPより詳細を見てみたいと思います。
LEDヘッドライト、テールも当然LEDです。
エンジンガード標準装備ですが、樹脂製。
5速リターン、ステップはラバータイプで靴底が傷みません。
幅広のバーハンドル、USBポート装備なのでスマホやナビがすぐ使えます。
大型リアキャリア標準装備、耐荷重は5Kgあります。積載性が確保されています。
カラーは3種(red&white、blue&white、white)あり、私はこのカラーが気に入っています。
スペック表
センタースタンド装備で便利ですが、そのために最低地上高は160mmに過ぎません。スズキのVストローム250も同じ地上高でした。デジタルメーターはギアポジション表示やバーグラフタコメーター、時計、トリップなど必要な機能は網羅されています。
高速道路や一部バイパスは走れませんが、こんなカッコいい原付2種ならぜひ乗ってみたいです。ボアスト比0.84のショートストロークで高回転型エンジンながら、月刊「オートバイ12月号」や「タンデムスタイル12月号」のインプレによると、高回転域では振動は少なく、低速時もスムーズな走りとのことですから、外観に似合わず下道のんびりツーリングに適している旅バイクのようです。税抜33万円は中国製空冷125としては安くはないけれど、この欧州車並みのスタイルと必要十分な装備なら妥当な価格設定かもしれません。ただ、品質面での信頼性が不安です。ネットをくまなく当たってみましたが、NHT125のオーナーインプレらしきものがまだ見当たりません。
虎穴に入らずんば虎子を得ず・・・、このバイクを買うこと自体がもうアドベンチャーかもしれません。SYM取り扱い店は減っていますし、購入には勇気が要ります。輸入元は昨年創業したばかりであり、長期にわたる部品供給が可能かどうかは未知数です。ただ、そういうリスクを十分承知の上で購入し、もし良い個体に当たれば、日本の道路事情には十分な性能だし、任意保険や税金などの維持費も安く、希少価値のあるバイクには違いありません。であれば、素晴らしいバイクライフの可能性を秘めたバイクかと思います。