鳴り物入りで登場したのも束の間、インドからの供給が停滞し、バックオーダーだけでも1年分という超人気車GB350。私には縁のないバイクと思っていましたが、たまたま立ち寄ったドリーム店の店頭で見かけました。
スタンダードではなくスポーティな軽快さを持つSタイプ。パッと見も車格は400レベルそのもので、ミドルクラスに相応しい堂々たるスタイルです。
若者向けのバイクですが、私にも親近感を抱かせる、どことなく懐かしい佇まいです。
試乗車なのでどうぞご遠慮なくとのことで、私も試乗させていただきました。
お店の周囲2kmほどを10分足らずで走りました。超ロングストロークの粘り強いエンジンですが、直線路の瞬発力はやはり250とは異なる頼もしさがありました。
また、何よりもサウンドが素晴らしかったです。空冷単気筒本来の心地よいパルス感が体験できました。
それでいて振動は少なく街乗りなら抜群の乗り味だと思いました。
ホンダのホームページを見ると
なるほどバランサーを二重に用意して振動を抑えていたんですね。
マフラーはエキパイが二重管構造で、サイレンサーが多段膨張式メガホンタイプ。開発陣が相当こだわったサウンドとのことで、実際に乗ることでその意図がよく分かりました。バイクで走る楽しさを改めて実感させてくれました。
バーチカルエンジンの上部は切削フィンで個性的な造形美を実現しています。
最近のバイクが爬虫類のようなルックスが多い中で、トラディショナルなフロントはやはりバイクらしい安定感があって好感が持てます。
メーターの外見はシンプルですが、トリップや燃料計、時計・燃費・ギア表示という必要情報を網羅しています。
Sタイプがタックロールでお洒落なシートなのに対し、スタンダードは一見地味ですが、実際はシートステッチやシュリンク仕上げで質実な個性化が施されています。
このシフトレバーも試乗車は通常タイプでしたが、スタンダードはシーソータイプです。慣れれば靴先を傷めないメリットがあります。
このGB350はインドホンダでハイネスCB350の名で登場しています。タンク色はツートン、前後フェンダーがクロムメッキの美しいバイクです。GB350はもうすぐEURO5に適合するモデルチェンジが行われるそうですが、日本でもこのハイネス仕様がラインアップに加わるといいですね。
何はともあれ、国内仕様ならメーカーが塗装も含めて品質レベルを上げて販売する安心感があります。現在販売されている5車種の中から選ぶと私ならメインカラーのブルーです。
エストレアもSRもなくなった現在、ホンダが内燃機関最後の時代に間に合わせてくれた意欲作かと思います。ましてや空冷エンジンは排ガス規制の面からも風前の灯火。懐かしさと最新技術がうまく融合した傑作、道理で爆売れなわけなんです。
いいものは売れるという定石を改めて感じた試乗体験となりました。良い機会を提供いただいたホンダドリーム店さん、ありがとうございました!